大判例

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東京高等裁判所 昭和28年(う)2365号 判決

被告人 岡田義一

〔抄 録〕

第一点について。

原判決挙示の証拠によれば被告人が判示日時場所において被告人以外の第三者の占有にかかる判示自転車一台を窃取したことが明白であつて、記録を調査するも原判決の右認定には事実誤認の違法があるとは認められない。尤も原審証人藤中浅夫の供述によれば右自転車は同人の所有にかかるものであつて、同日午後八時半頃甲府市内百石温泉において窃取されたものであることが認められ、本件犯行は右日時に接着してその附近において行われたものであるから、本件は被告人が右賍物を窃盗犯人から窃取したものでないかと疑われるのであるが、原審証人大木徳治の証言に現れた、右同所において本件自転車を窃取された被害者の言動から見ると、右被害者が前記窃盗犯人本人であつたとは認め難く、むしろ同人は右自転車を犯人から善意に取得した第三者ではないかと認められるのである。仮に右被害者が藤中浅夫所有の自転車を窃取した犯人であつたとしても、窃盗罪の法益たる所持(占有)は物に対する事実上の支配であつて、その物に対する事実上の支配関係が認められる限りその支配が適法であると否とに拘らず窃盗罪の保護法益となるものと解せられるのであるから、右のように窃盗犯人から更に賍物を窃取した場合においても窃盗罪が成立するものと解するのが相当である。故に原審の認定並びに法令の適用は正当であつて所論のような違法はない。なお本件自転車は窃盗犯人が判示パチンコ屋前に放置した占有離脱物であるとの点は原判決がこれを認めなかつたものであつて、記録に徴するも原審の右認定は相当と認められるから、占有離脱物であることを前提とする論旨も採用することができない。故に論旨は理由がない。

註 本件破棄は量刑不当。

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